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2006年6月16日 (金曜日)

学習の不安

わかりながら先に進むことは大事です。

しかし、時にはわかったような気になって進むことも必要です。

先日、担当のAさん(5年生)のお母さんから相談を受けました。

授業についていけていないんじゃないかと言う相談です。

このままでは心配だからクラスを下げてもらうとか、何らかの方法をとりたいと言うことでした。

塾や先生のことはとても信頼しているし、子どもも気に入って楽しく行っているのだが、どうもわかっていないまま進んでいるような気がして不安である、とのことでした。

Aさんの成績はクラスの中では真ん中よりやや上と言った感じです。

Aさんがついていけていないとしたら大問題です。クラスの半分以上がついていけていないことになります。

また、私がピントの合っていない授業をしていることになります。

そこで詳しく話を聞いてみると、

1.授業で習ったはずなのに自分で、宿題ができないことがある。

(宿題は予習シリーズの基本問題と練習問題です。)

2.そこで母が教えていると、どうも基本の部分で理解できていないところが見えて余計不安になる。

3.気がついた穴を埋めるために割合など前の単元にもどって教えなければならなくなる。
4.そんなことをしているうちに時間がなくなり、課題をこなすことができずに次に進んでしまう。

ひとつひとつは、よく聞く、また、うまくいっていない(と感じる)典型的なパターンです。

確かに大問題ですが、いちばん問題なのは(これはそのまま言いませんが)お母さんの不安と焦りです。

私の回答。

1.について。

自分で、練習問題まで含めてシリーズがスラスラ解けるのはかなり上位の子供だけである。わからない、できないのが当たり前のくらいの気持ちで見てあげるべき。

(話を詳しく聞くとまったく手が出ないわけではなく、できない問題が数か所あって、そこは習っているはずなのに、不安になるのだそうです。)

2.について。

100%理解しながら前に進もうとするのがまず無理な話。

そのために夏期講習などでは半分以上復習にあてるし、また、予習シリーズのカリキュラムも重要なところはくり返し形を変えて学習するようになっている。

(どうも私は完全主義のようで、とくり返しおっしゃっていました。)

3.4.について。

前にもどることは悪いことではないが、限度があるし、きりがないので、できる限りでかまわない。さらにはやらなくてもよい。私の示す正しい学習法を取っていれば問題なく、また先にいけば自然に理解できるところもたくさんある。

間に合わないようなら、私のプリントと「計算と一行」だけはしっかりとやって、予習シリーズはできる限りでよい。そのうち必ずシリーズまできちんと終わることができるようになる。

くり返しになるけれども、まずは、目の前の問題に集中して、わからなくて当たり前、わかったらスゴイ、くらいの気持ちで見てあげるべき。

納得していただけたようです。

先生が思うとおりに指導してくださいと言ってお帰りになりました。

学習に関して(もちろん他のことも?)、大人の目線と子どもの目線は違います。

理解の仕方も違います。

大人は子どもに比べて圧倒的な経験と知識で、学習にあたります。

子どもはその、まだまだ大きく空いた脳のスポンジに、快感を伴う刺激を中心に、先入観なしで、どんどん取り込んでいきます。

その最中は止めてはいけませんね。

わかるもわからないも含めて取り込めるのが、子どもの未知数の力になると思うのですが、外れているでしょうか。

解けないままに放置してある問題のパーツがいつか繫がったときが、大きな力に変わる瞬間になります。

わかりながら確かめながら進むことは大事です。

しかし、わからないまま、それが気持ちが悪ければわかったつもりになって、先に進むことも時には必要です。

「わかっていない」、「理解していない」ことを指摘することも大事ですが、それも時期と問題によりけりです。

「わかったらスゴイ!」くらいの気持ちでお子さんを見てあげると、算数好きで算数が得意の子どもがもっとたくさん増えるように思います。

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賛数仙人

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