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2007年3月 5日 (月曜日)

算数から数学に

受験が終わった6年の子どもたちに先日「卒業授業」をしました。

入試前、最後の授業が終わって教室を出かけたとき、「ああ、これで授業が受けらないのかあ」と声が聞こえ、それが妙に耳に残っていました。
それを言ったのはワルガキ軍団のボス的存在の子です。
普段はそういうことを言わない、前しか見ずに歩いている子なので少し違和感があったのかもしれません。
受験直前なので、それは捨て置き「合格しろよ」と声をかけあとにしました。

受験が終わると、希望者は「英数講座」を受けます。
中学へあがるための入門講座です。
アルファベットや数学を少しお遊び程度に予習するのですね。
この講座は担当しませんから、入試前の授業が毎年最後です。
その講座に出ているボス君を見かけ、つい
「特別に1回だけ、もとのクラスで数学教えようか?」
「本当に!?」
「じゃあ、みんなと相談して日時を決めなさい」

と言うことで、本当に最後の「卒業授業」となりました。

受験算数が得意な子は、場合によっては数学が身につかないことがあります。
もちろん算数を得意にしたまま、数学も得意になる子もたくさんいますが。
学校の教科書で中学2年くらいの内容までは「受験算数」で解くことができます。
受験算数を極めた者ほど、数学(まずは単純に言うと方程式ですね)で解くのが面倒くさく見えてしまいます。そう見えてもしっかり学校で勉強していれば問題ありませんが、算数に頼って数学をおろそかにすると、いつの間にか当然ながら数学で落ちこぼれてしまいます。
まずは「関数」あたりでしょうか。
図形も場合によっては危ない。証明なんて何の必要があるのか、見たらわかるのにとなってしまいます。
さらに「平方根(ルートですね)」、そして「2次方程式」です。だんだん算数で歯が立たなくなります。
こうなると高校レベルになると何をやっているのかわからなくなり、当然、数学は見事に落ちこぼれます。
そういう子に限って、三つ子の魂とでも言うべきか、結構、大人になっても算数だけは強いままだったりします。
大学受験は失敗するけれども、就職試験では成功することもあるみたいです(就職試験の問題と中学受験の問題は算数だけでなくかぶっているものが多いですね)。

数学で落ちこぼれず、算数が得意であったように数学も得意でいて欲しい。そういう思いで特別にプリントを作り、「卒業授業」をしました。
入門講座の方で「正負の数」はやっているはずですし、普通に教えても時間だけがかかります。どうせ中学に行ってもう一度時間をかけて習います。
そこで、2時間程度で方程式の応用(方程式を使って食塩水の問題や速さの問題を解く)まで教えてみようと考えてみました。もちろんなめる程度になりますが。
しかし、目標は数学を好きにさせること、興味を持たせることです。

プリントを配ると、さすがもと受験生です。「先生、解いていい?」
「はい、どうぞ」
少し、説明してからとも思いましたが、はじめから気をひくトラップを用意したので、それもいいかと。予定を変え、テスト形式ではじめてみました。

プリントのはじめだけ、少し紹介しましょう。

 

1. 12÷0の答えは何か、次の①~③で正しいものを記号で選べ。
  ① 12    ② 0    ③ 求められない

これはいきなりひっかかります。
正答率20%くらいです。ほとんど②を選びます。教えていたはずですが、いざはじめて見ると予想以上にひっかかります。

「0」の扱いが数学では先々重要になってきますね。

 

2. 0÷x=0のとき、xにあてはまる数について答えなさい。

子どもたちはいきなり困っています。
今までやってきたほとんどの問題は多少複雑でも最後はすっきり答えが出るものが多いですから。
見回ると「整数」 ……おしい(かな?)
半分の子はとばしています。
解説で、
A÷B=Cのとき、A=B×Cだね。0=x×0だから、xは「何でもいい」が正解です。
「ああ、書いておけばよかった」
そんな子ばかり。
「数学では、これを「不定」と言います」
(ここら辺は難しい理屈があり、不定とか不能と言うのは厳密には「定義できない」のでしょうが、印象付けるには名前があったほうがいいです。中学生には「負の数の平方根はない」と教え、高校になると突然、いや実は作ればあったと「虚数」を教えますね)。

「じゃあ先生、3番の問題はもしかして……」

 3. 0÷x=3のとき、xにあてはまる数について答えなさい。

「そう、何もあてはまらない、が正解です。これを「不能」なんて言います」

そんな算数では出てこない問題をやったあとは、アルファベットの小文字の練習です。
bやl、qなどは筆記体で書きます。xやzなどはやや特殊です。もちろん数字と文字をしっかり区別して書くためですね。
「英語でもそう書くの?」
「いや数学の話、英語のことは英語の先生に聞いてくれ」

文字式の表し方を一通りやったあと、面積の公式、パイ、等式の性質、等式と式の区別です。
そしていよいよ方程式、さすがに受験が終わったばっかりのせいか、飲み込みがいい。
「……方程式を解くと、最後は必ず x=~になります。これは君たちが、たとえば今まで⑥が18のとき①は3とやっていたことと同じです。6x=18、x=3というのは⑥=18、①=3のことですね。
と言うことで、これからは①ではなくxを使って解けばいいんだよ」

……

「算数を忘れず大人になると、これは楽しい未来がきっと待っている。でも、数学もきっと楽しい。算数をマスターした君たちだから、きっと数学の楽しさ、美しさを味わうことができる。
数学のこともいっしょに話ができるようになるといいねえ」

あっという間の楽しい2時間でした。

仕事算の続きはまた今度。

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