場合の数について
場合の数に限らず、数える問題は重要です。
上位校になればなるほど問題出題率は高くなります。
差がつきやすいからかもしれません。
上手にていねいに数えることができるか、算数の大事な能力のひとつです。
ふつうに学習していると、ここは誰でも苦手になる単元です。
また、教える側の力量も問われる単元でもあります。
教えられ方によってはとてもよくわかったり、ぜんぜんわからなくなったりします。
先生側の理由はいろいろと考えられます。
場合の数や確率は、N進法や集合なんかもそうですが、学校のカリキュラムでよく移動がある単元です。小学校で習うことになったかと思うと、高校で習うことになったりします。
わりと新しいところでいえばちょっと前までは小学校で、場合の数はもちろん確率(確からしさですね)まで習っていました。今はありませんね。中学校に移動しています。
そう、教わっている先生の年代によっては、カリキュラムの移動や何かできちんと学校で習っていないこともありえます。
その先生も「場合の数」だけはよい先生に会わなかったのかもしれません。
また、場合の数を軽視していている先生もいるかもしれません。
自分が好きでないと積極的に教えることが難しい単元なのかもしれません。
場合の数自体は、中学入試での出題率は10%未満です。
さらに中堅校以下ではぐっと出題率も難度も低くなるでしょう。
ここに力を入れる必要はないと考えるかもしれません。
「算数ができない子に場合の数をやらせるくらいなら計算の練習をさせたほうがよい」
そういう声は何度も耳にしたことがあります。
私見では「数える」という学力はどの単元の根幹に関わるものと思っています。ここを疎かにしていいとは考えられません。
苦手になってしまう教わる側の理由としては、先生がだめ、軽視しているということを除くと
書く、調べるのが面倒くさい。
計算一発で出ない問題が多い。
答えがあっているかどうか判断しにくい。
といったところでしょうか。
何をしていいのかわからない、という場合もあるかもしれません。
totoの話ではありませんが、賭け事に興味がないと遠い世界の話なのかもしれませんね。
確率が賭けによって発達した学問であることは有名ですね。
さて学習法ですが、それがいつなのかに関わらず、きちんと学習しようと思ったら、とにかくまず樹形図でも、書き並べ法(辞書式配列法のことです)でも、とことん書いてみることです。
いきなり3通り、2通り、1通りだから(3×2×1=)6通り、これがまずい。
特に先生がいきなりこれを教え始めるのはよくない。
はじめは書いてこのルールに気がつかせるべきです。
やっているうちに人間はふつうズルをしたくなります。
時間さえあれば、とことんルールに気づくまで、ズルができるようになるまで書いて書いて書きまくって欲しいものです。
「もれなく、重なりなく、順序正しく」数えること、これが基本です。
この基本がしっかり身につくまで書いて欲しいものです。
そして、次は「かけるか、たすか」の違いです。
いわゆる「積の法則」と「和の法則」の区別が重要です。
しかし、これもやはりしっかり書き尽くすことでわかってほしい。
あ、書ければ楽に数えられる、ここはたせばいい、と手でわかるまでですね。
私の場合、子どもが場合の数の問題をはじめて質問してくるときの問答は決まっています。
「先生、この問題の解き方を教えてください」
「かいてみた?」
「いえ、計算の仕方を教えてください」
「じゃあ、とにかくかけるだけかいてきて。話はそれから」
そうは言っても子どもには面倒くさく、いまいち楽しめない単元かもしれません。
(それだからこそ、この単元こそ、よい先生に習って欲しい、と本当に思います。「先生、場合の数すき?」と子どもに聞かせてみてください。「きらい」と答えたらすぐ塾換えを薦めます。いえ、ごめんなさい。半分、冗談です)
教わる方も教える方も、他の単元より時間と根気がいる単元です。
しかもごく基本から半端のない応用まで、おさえきれないほど問題はあります。
苦手だ、嫌いだ、こういう感覚を持たせると先に進まない単元でもあります。
4年くらいまでは、とにかく書かせて成功体験をたくさん持てるようにしたい。
嫌がらない程度に、書く癖をつけてあげたい。
四谷予習シリーズでは、4年2学期がはじまるとすぐ今度は「組合せ」の登場です。
大半の子は「ならべ方」で苦労した経験だけを記憶し、残りの子は何も記憶していないに等しいことが多いです。
しかし、ある程度、きちんと書く練習ができている子は理解が進みます。
さらに5年では1学期後半に3回連続でさらに詳しく学習します。
(現5年の皆さん、もうすぐです)
4年までで、しっかり書くことをした子どもは、ここで計算の形が見えることでしょう。
繰り返しになりますが、まずは、とにかく自分でたくさん書くことです。
5年でも6年でも、中学生でも高校生でも同じです。
書くことをせず、計算だけ習っても一夜漬けに等しく、身につきません。
こういう単元、問題はつかず離れず、苦手意識を極力持たせないようにして、基本から学習させたいものです。
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