数脳・図脳・算数脳 その23
しかし、時にはわかったような気になって進むことも必要です。
担当していた5年生のAさんのお母さんから、授業についていけていないのではないかと言う相談を受けました。
このままでは心配だからクラスを下げてもらうとか、何らかの方法をとりたいということでした。
塾や先生のことはとても信頼しているし、子どもも気に入って楽しく行っているのだが、どうもわかっていないまま進んでいるような気がして不安である、とのことです。
もしAさんがついていけていないとしたら大問題です。クラスの半分以上がついていけていないことになります。ピントの合っていない授業をしていることになります。
(宿題は予習シリーズの基本問題と練習問題です。この頃は演習問題集はまだありませんでした)
④ そんなことをしているうちに時間がなくなり、課題をこなすことができずに次に進んでしまう。
確かに大問題ですが、いちばん問題なのは(これはそのまま言いませんが)お母さんの不安と焦りです。
①について。
わからない、できないのが当たり前のくらいの気持ちで見てあげるべき。
(話を詳しく聞くとまったく手が出ないわけではなく、できない問題が数か所あって、そこは習っているはずなのに、不安になるのだそうです。)
100%理解しながら前に進もうとするのがまず無理な話だと思うこと。
そのために夏期講習などで、半分以上は復習になるし、また、予習シリーズのカリキュラムも重要なところはくり返し形を変えて学習するようになっている。
(どうも私は完全主義のようで、とくり返しおっしゃっていました。)
前にもどることは悪いことではないが、限度があるし、きりがないので、できる限りでかまわない。さらにはやらなくてもよい。正しい学習法を取っていればこのままで問題なく、また先にいけば自然に理解できるところもたくさんある。
間に合わないようなら、私のプリントと「計算と一行」だけはしっかりとやって、予習シリーズはできる限りでよい。そのうち必ずシリーズまできちんと終わることができるようになる。
くり返しになるけれども、まずは、目の前の問題に集中して、わからなくて当たり前、わかったらスゴイ、くらいの気持ちで見てあげるべき。
先生が思うとおりに指導してくださいと言ってお帰りになりました。
理解の仕方も違います。
子どもはその、まだまだ大きく空いた脳のスポンジに、快感を伴う刺激を中心に、先入観なしで、どんどん取り込んでいきます。
わかるもわからないも含めて取り込めるのが、子どもの未知数の力になります。
「わかっていない」、「理解していない」ことを指摘することも大事ですが、それも時期と問題によりけりです。
理解の度合いは先生と子どもに任せて「わかったらスゴイ」くらいの気持ちでお子さんを見てあげると、算数好きで算数が得意の子どもがもっとたくさん増えていきます。
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