算数といえば「つるかめ算」というくらい有名です。
内容はともかく名前は何度も聞いたことがありますね。
もともと、和算のそのまた昔は鶴と亀ではなく、キジとウサギだったようですが。
今回はつるかめ算についてお話しします。
これまで見てきた問題とは違い、算数独特の解法の代表と言ってよいでしょう。それと愛嬌のある名前でここまで有名になったのかも知れません。
まずはつるかめ算の基本問題とその解法を見ていきます。
「つるとかめがあわせて10匹いて、この足の本数をすべて数えたら全部で28本でした。つるは何匹いますか。」
つるかめ算となる問題の構造(というほどのものではありませんが)は、単位あたりが違う2つのものの個数の和と全体の数の和がわかっているとき、それぞれの個数を求めるものです。
この問題の場合は1匹あたりの足の本数が2本と4本で、その匹数の和が10匹、足の本数全体の和が28本とわかっています。
このとき、つる、またはかめの匹数を求めるわけです。
よって、この問題はたとえば「2円切手と4円切手があわせて10枚あり、金額全体の和は28円、2円切手は何枚あるか」と同じです。
単位あたりの量がわかっていて「あわせて~、あわせて~」の関係になっていればつるかめ算なのです。「和・和」はつるかめ算ともいえます。
方程式の形で見てみると、つるはx匹、かめはy匹いるとして、
x+y=10
2x+4y=28
となり、和の関係が2つあることがわかります。
さて、つるかめ算の解法の基本は、算数(数学でも?)で大事な考え方である
「極端な場合で考える」
「~であると仮定して考える」
です。
つるとかめの2種類がいるからわからないわけで、もしこれが「つるが何匹かいて足の本数は12本です」なら、「つるは(12÷2=)6匹」と即答できます。
「もしもすべて~だったら」
これがつるかめ算のキーワードです。
「もしもすべてつるだったら」全部で足は(2×10=)20本です。
「でも本当は」(これが第二のキーワードです)28本です。
すべて2本足のつるのはずでしたが、足を2本ひっこめていたかめがいたことがわかります。
ひっこめた足は(28-20=)8本なので、ひっこめていた足を2本ずつだしてもらいます。
すると(8÷2=)4匹のかめがいたことがわかりました。
よって、本当のつるは(10-4=)6匹です。
もしもすべてかめだったら、でも同じです。
2本足のつるが、にせの足を2本ずつつけてかめに化けているわけです。
もしもすべてかめだったら、足は全部で(4×10=)40本あります。
でも本当は28本なので(40-28=)12本多いことがわかります。
そこで化けているつるのにせの足を2本ずつ取っていくと、つるは(12÷2=)6匹いたことがわかります。
以上の式をまとめてかくと
すべてつるのとき、
(28-2×10)÷(4-2)=4(かめの数)
すべてかめのとき、
(4×10-28)÷(4-2)=6(つるの数)
となります。
つるかめ算の解法では昔から「面積図」の解法が有名です。もっとも理解していれば無理に使う必要はないのですが。
高さの違う長方形を2つ並べて上記の解き方を視覚化します。
「1匹あたりの足の本数×匹数=足の本数」を「たて×横=面積」に置き換えて考えます。
「もしも~だったら」の部分はどちらかの長方形のたての長さに両方そろえて考えます。
「でも本当は」との差の部分が面積の差に出てきます。
「和・和」の関係を、横の長さの和、長方形の面積の和で表しています。「和」の関係なので、横に並べてくっつけます。
面積図をブログ上でかくのはたいへんなので、少し違いますが簡易的な図を考えてみます。
「つる(足2本)とかめ(足4本)あわせて10匹、足の総数は28本」でした。
2・2・…・2|4・4・…・4(合わせて10個の2と4、総数28)
もしもすべて2(つる)だとすると
2・2・…・2|2・2・…・2(合わせて10個の2、総数2×10=20)
2・2・…・2|4・4・…・4(合わせて10個の2と4、総数28)
総数の違いの(28-20=)8は「本当は」2が4だったためで、1匹あたり2ずつ多いためです。
よって、もともと4だった(かめだった)のは(8÷2=)4匹です。
もう1問見ましょう。
「50円切手と80円切手をあわせて12枚買うと代金の合計は750円でした。50円切手の枚数を求めなさい。」
50円切手の枚数を出すので、すべて80円とします。
かかる代金は(80×12=)960円
全体の差は(960-750=)210円
1枚が80円でなく50円になると(80-50=)30円安くなるので、
50円は(210÷30=)7枚です。
これを式でかくと
(80×12-750)÷(80-50)=7
です。
簡易的な図であると
50・50・…・50|80・80・…・80(あわせて12枚、合計750円)
80・80・…・80|80・80・…・80(あわせて12枚、合計960円)
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30・30・…・30 → これが210円の差
つるかめ算は、単位あたりの量の関係があり、上記のように「和・和」の関係になっているものについて解く特殊な解法です。
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